降っても、晴れても ·chronicle for rainy African stays

エッセイと短いフィクション、それに備忘のための記事リンク *内容は個人としてのものです。

人口知能

「きみは人口知能に興味はあるのかね」と就職活動のときに質問された記憶があります。32年前!

 

その後1~2年、人口知能についての記事をみたりみなかったり、だったのですが、そのうち音さたがなくなった…

 

と思っていたら、一昨年(2016年)の秋の広告学会に参加したときに、人口知能(=AI)を活用して 広告コンテンツや映像コンテンツの評価をしている事例がアメリカにすでにあること、NETFLIXがすでに映像コンテンツの制作にAIを活用していること、などなど発表されている先生がいらっしゃいました。

その後自分も人口知能についての興味が増したこともあるのでしょうが、2016年から2017年にかけて、急速に シンギュラリティだとか、定型的な作業は人口知能で対応されるとか、ホワイトカラーの中間層は不要になるとか、メガバンクの業務も代替されるとか…、人口知能同士で人間のわからない言語でコミュケーションしていることが確認され、その企業は開発をやめたとかやめないとか…。

いろいろな報道や記事をみました。

 

それはそれとして、ぼくの個人的な興味は

・ネットフリックスがすでに映像コンテンツの制作にAIを活用していること

これ、映像コンテンツの、制作の、どのプロセスに、どのように活用して、成果・効果はどうなのか、ずーっと気になっていたのですが、(学会でその場で質問しても回答なさそうだったので、その点については質問せず、別の質問したので…)今日の新聞の一面に記事がでてました。さすが日経新聞

 

AIが促すハリウッド再編 ネットフリックス台頭 視聴データでヒットを的中 :日本経済新聞

 

あくまでアメリカでの事例ですけれど、(以下 斜体は 日経新聞の記事からの引用

 

 

・ハリウッド企業は知名度の高いブランド作品を持ち、有力な監督や俳優を抱え込んできたが、創造性に頼りがちな作り手主導の発想で当たりはずれが大きい。。

・誰がどこで作品を評価するか分からないコンテンツ産業特有の曖昧さをネットフリックスはデータで補った。AIを活用。

・本社に分析チームを抱え1億人分の視聴データから法則性や将来を予測

・AIの機械学習の技術を駆使し「どの作品をどの媒体で見たかなど100超の項目を基に個々の会員の嗜好を把握している」(クリス・ジャフ副社長)。

  -視聴者の嗜好にあわせて推奨画面のデザインを変え、

  -対象を絞って電子メールで宣伝をして視聴につなげる

  -作品づくりにも。独自作品ではデータを基に起用する俳優や監督を決めた。

   スリラー好きはどんな俳優を好むか、どの監督が作れば利用者は最後まで

   視聴するかというデータを活用

  -AIが世界に浸透する前から顧客の志向を分析することを何よりも重視

  -プロデューサーの経験や人脈で作品をつくるハリウッドのモデルと対極にある。

その一方で

  -「「ストーリーづくりはクリエーターに任せている」

そうです。

アメリカではケーブルテレビの普及率が高いそうなのですが、ケーブルテレビ含むテレビ業界が、脅威を感じているそうで、

・これまでネットフリックスに配信用の作品を提供していたディズニーが、ディズニー作品を配信する協業先プラットフォーマーではなく、対抗する作品を創るライバルとみなして、ネットフリックスへの作品提供を2019年にはやめる

・テレビ作品の視聴を、ネットの動画視聴で済まそうとする米国の若年層の動き(これ、日本も似てますね)で、ネットフリックスがテレビ業界を覆う脅威となっている。

アマゾンならぬ「ネットフリックス・エフェクト(効果)」がメディア業界をかき回している。

だそうです。

 

クリエイティブにどう人口知能を活用して成果を出しているのか、という単純な疑問だったのですが、ひもといていただくと、なにもかも、がAIというわけでなく

・データの収集意思と分析方針はヒト

・ストーリーつくりもヒト

 

・ターゲティングセグメント作成はAI分析結果から。

・分析結果から 嗜好別セグメント別に、独自コンテンツ制作で支持が得られやすいスタッフやキャストのめぼしをつける。(キャスティングはヒトがする)

・ターゲットへの訴求 (デザインやターゲットへの配信後のフォローメール)は分析結果から

などなど

AIがヒトの仕事のうち、経験と勘と度胸(KKD!)で判断していたプロセスを「みえるか」した、ということなのですね。

 

AIがなにもかも人の仕事を代替する、という時代も遠からずくるのかもしれませんが、いまいまは、人がAIのできることをどのようにしてうまく活用するか、から冷静に考えうまく導入しないと、楽にはならないなあ…。と思ったりして。

 

RPA(ロボットによる作業プロセスの代替)とAIと組み合わせていろんなイメージがわいてきている昨今ですけど、都市伝説みたいな話もあるので、この手のはなしは「いま」なにができて、いまの作業プロセスと置き換えるにはどんな準備と検証が必要で、その先の夢のような世界は「いつ」くるのか、ということを確認しながら仕事するのが冷静な対応なんだろうなあ、とこの記事読みながらおもったのでした。

 

なんか、うまくまとまらなかった (苦笑)

 

・2016年の広告学会で、発表した先生にぼくが質問させていただいたのは、先生がシンギュラリティ(人の仕事がAIにかなり代替されるタイミング)が来る、とおっしゃっていたので、「日本で、コンテンツ評価の業務で、いつシンギュラリティがきますか?」という質問でした。これ、先生に質問する話ではなく、自分たちで考えるべき話だったなあ…

 

FINE