降っても、晴れても ·chronicle for rainy African stays

エッセイと短いフィクション、それに備忘のための記事リンク *内容は個人としてのものです。

Chet in Ikebukuro

いまとなっては、なぜそんなことになったのか自分でも謎なのだが、働きすぎてからだをこわし、働けなくなった。

家族もいるし、まだまだ働かねば、という時期に、である。

 

半年休養し、なんとか職場にもどることができたが、これまでできていたはずのことができなくなっていた。

 

上司が情に厚い方で、復職後の職務内容を調整してくれ、長時間残業をしなくていい役割を与えてくれた。

 

毎日、18時には退社できる状況は、自分の体調を考えるとありがたい。でも、それまで終電直前の退社があたり前だったこともあり、18時からの時間、なにをしたらよいかわからない。

 

おくさんに相談すると、せっかく職場が池袋なのだから、たまには映画でもみて帰ればいいのに、という。

 

ではお言葉に甘えて、という気持ちになり、退社後に池袋の街の映画館をのぞいてみたが、いまひとつピンとこない。

 

世の中は、「世界の中心で愛を叫ぶ」という小説がヒットし、映画化されて映画も大ヒットしている、という話題で盛り上がっていた。少なくとも自分にはそんなように思えた。

 

映画館のある通りから少し脇道にそれてぶらぶらしていると、東急ハンズの裏手あたりにライブハウスのサインをみつけた。

 

「Chet Jazz Cafe」

ジャズの店か…。ジャズの曲、しらないからなあ…

 

・本日のライブ

       19時から、

       jaclass

      (ハモンドオルガンのトリオ)

 

ハモンドオルガン。生で聴けるなら、聴いてみたい。

 

ミュージックチャージ 1500円、ドリンク別、ワンドリンク オーダーのこと。キャッシュオンデリバリー。

 

よくわからないが、入ってから考えよ。

 

地下一階にあるライブハウスへの階段をおりて店の扉をあけると、白髪で瞳の色が茶色い年配の男性がトランペットをクロスで磨きながらカウンターの前に立っていた。

(fine)

・・・

※フィクションです。